JALが設立したLCC「ZIPAIR(ジップエア)」ってどんな会社?

ZIPAIRのモデルプレーン

ZIPAIRのモデルプレーン。初号機となる予定のJA822Jの機体番号が入っている。

日本航空(JAL)は、中長距離線格安航空会社(LCC)となる「ZIPAIR(ジップエア)」を設立し、2020年5月14日、東京(成田)⇔バンコク(スワンナプーム)線に就航する計画です。

ブランド名やロゴマークの由来は?

ZIPAIRの機体・制服デザインのお披露目で挨拶をする、西田真吾代表取締役社長。

ZIPAIRの機体・制服デザインのお披露目で挨拶をする、西田真吾代表取締役社長。

英語で、矢などが素早く飛ぶ様子を表した擬態語「ZIP」から生まれた造語で、「フライトの体感時間が短い」エアラインであることを表現しています。

「ZIP CODE(郵便番号)」が持っている「さまざまな場所に行ける」というイメージや、デジタルファイルフォーマットの「.zip」のイメージを盛り込み、「至る所に日本人らしい創意工夫をつめて、計算し尽くされた移動体験を目指す」という想いを込めています。

社名は、To Be Launchedの頭文字から取った仮社名の「ティー・ビー・エル」から、拠点となる地名「東京」を冠して「ZIPAIR Tokyo」としています。

ZIPAIRのロゴ

ZIPAIRのロゴ(写真:ZIPAIR)

ロゴマークは、フォントにローマン体を採用し、今までのエアラインにはない佇まいや雰囲気をもったロゴマークに仕上げています。「Z_ 」のロゴマークは、「ZIP」の頭文字で“究極”を意味する「Z」と、「 AIR」を表現する空白「_ 」を組み合わせており、空白部分は「Infinite Blank(インフィニット・ブランク、無限の空白の意味)」と呼び、「“究極”のその先を目指すエアラインであり続けるために、変わり続ける時代とお客さまの、真のニーズに応えるサービスを無限に追求し続ける」という想いを込めました。

コーポレートカラーは、メインカラーをグレー、サブカラーをグリーンとし、グレーは「Harmony Gray(ハーモニー・グレー)」と名付け“コストと満足度の調和”、グリーンは「Trust Green(トラスト・グリーン)」と名付け、“安全運航・定時運航などの高品質なオペレーション”を示しています。

機材は何を使うの?

ZIPAIRの機体パース

ZIPAIRの機体パース。(写真:ZIPAIR)

機材は中型機のボーイング787-8型機を使用します。JALが運航している、初期仕様の2機をリースで導入します。この機体は「E03」を呼ばれる客室仕様で、ビジネスクラスはフルフラットにならず、近々改修されるのではないかと噂されていました。

座席数は290席で、従来のJALボーイング787-8型機と比べて1.5倍増加し、上級シートの「ZIP Full-Flat(ジップ・フルフラット)」が18席、普通シートの「Standard(スタンダード)」が272席の2クラス仕様となっています。

いったいどこに飛ぶの?

東京/成田〜バンコク/スワンナプーム・ソウル/仁川線の2路線を、1日1往復します。

エンジンが2基の旅客機は、片方のエンジンが停止した場合に、最寄りの空港に降りることができる時間に基準が定められています。最寄りの空港に降りることができ、中距離路線であること、需要の高さからバンコクを選んだといいます。ソウルは多くのLCCが飛んでいて、需要が大きいことから就航を決めました。

その後は、太平洋を渡ったアメリカ西海岸の路線を中心に検討し、ヨーロッパ路線の展開も視野に入れています。

運賃はどれくらいになる?

ブランド発表会で西田真吾代表取締役社長は、「フルサービスキャリア(大手航空会社)の半分というイメージ」と話しています。

現在のJALの日本発の運賃は、バンコクは往復50,000円から、ソウルは往復33,000円からですので、バンコクへは往復25,000円程度から、ソウルへは往復16,500円程度からになるとみられます。

バンコクの場合、競合するスクートやタイ・エアアジアXは、日本とバンコクを片道10,000円程度になるセール運賃を販売しており、ほぼその価格帯に近いイメージです。ソウルは韓国のLCCセール時には往復10,000円程度、地方都市からだとさらに割安に販売していることが多く、大手航空会社と韓国LCCの中間くらいの価格帯になるでしょう。

西田真吾代表取締役社長は、「就航しているLCCの価格設定を研究している」と話しているので、提供するサービス内容やライバルの動向を見極めた上で運賃を決めることになります。